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70周年を迎える
学校法人新島学園 理事長 湯浅康毅 |
この度は2017年度新島学園中学校・高等学校同窓会会報『根笹』発刊おめでとうござい ます。
同窓会の皆様には日頃、新島学園へのご支援・ご協力を賜り、また昨年から取り組んでおります創立70周年記念事業へのご理解・応援を頂戴致しまして心から御礼申し上げます。
本年5月に開催された総会の時に立見新会長様が報告をされていましたが、これまで同窓会会報『根笹』の発行は、一部印刷分を除いて同窓会のウェブサイトを中心に展開されてこられましたが、今年は全同窓生に向けて画面を通して閲覧するものではなく、実際手に取って読み込んでいく『根笹』を復活し、同窓生お一人お一人に直接郵送されるとのことでした。今回の皆様のご決断は、これまで諸先輩方が築かれてきた母校・新島学園と同窓会との結びつきをまさに次世代の絆へと繋いでいくための新たな風を感じた次第であります。
改めて前・中島会長様及び立見新会長はじめ役員の皆様のご尽力に心から感謝するとともに、今回の皆様方のお気持ちに接し、ある新島襄の言葉を思い出した次第です…。
さて、母校・新島学園中学校・高等学校も教職員、保護者、同窓会の皆様のご協力により毎年信頼と実績を重ね、今年も多くの入学者に恵まれ、新たな伝統を築きつつあります。今年本学は大きな時間軸の中にあって大変意義深い節目の時である創立70周年を迎えております。
新島学園という名の私立学校は世界中探しても他にどこにもない、唯一我らの新島学園のみであります。
ご承知の通り、新島学園の名前の由来は新島襄です。明治6大教育者と知られ、京都・同志社の創立者であり、本学の建学の精神の基である新島襄は新島学園の起源にかかわる全ての始まりを象徴する存在です。
約140年前の明治7年11月28日に新島襄が上州安中の地に帰郷し、日本で初めてキリスト教会衆派の福音の種が蒔かれ、以来世代を超えつつもその種が大切に育まれ続けた結果、新島学園は昭和22年に誕生しました。
この度迎えます70周年とは、単に新島襄ゆかりの地に有志が集まり建てた学校が70年を迎えるのではなく、明治初期から脈々と続く約140年間の新島襄ムーブメントの源流を歩む中での70周年なのであります。
これまで歩んできた時と同じくらいの時間をじっくりかけて設立されたことに非常に大きな意味と意義と使命を持っております。
学校も歴史を重ね、今では創成期に卒業された同窓生の3代目の方々が入学されている状況下で、これまで学校という学び舎が学び舎たる存在となるための良質な時と同時に試練の時を与えられてきました。
その時その時、それぞれの立場を担う者がそれぞれの境遇に置いて出来る範囲で、目に見える、目に見えない働きで支え合い、本学ならではの歴史・文化を積み重ね守ってきて頂いております。
今回の同窓会会報『根笹(印刷版)』の復活は、これまで以上の負担をかけていただきながらも、より多くの同窓生の皆さんと母校が永続的に繋がり、共に歩みつつ更に盛り立てていこうという気概を具現化した象徴的な出来事であり、これはまさに本学の建学の精神である新島襄の心そのものであるとともに、皆見えない力によって束ねられていると確信した次第です。
新島襄は明治15年7月15日に八重夫人と一緒に原市教会に来て『地方教育論』について講演をします。この中で日本の教育は中央主義で、本物の教育を行うには地方が望ましい、地方の人材は地方が育てる、どのような生業でも良いが、もしその地方に危機が訪れたらみんなで一致団結して乗り越える、このような教えを残されています。
今回の同窓会の皆さんのお働きはまさにこの『地方教育論』の教えを新島学園中学校・高等学校の伝統という空気を作りながら、その精神を自然と培われてきた証拠なのだと思います。そして改めて我々は新島襄の精神で大きく束ねられていると感謝した次第であります。
今後70周年記念事業を総括する上で、10のプロジェクトの一つとして、11月28日㈫よりクリスマスイヴまでの約3週間、『創める‥新島学園創立70周年記念フェア』を開催させていただきます。
この約3週間の意味というのは数多く含んでおり、それぞれが直接的・間接的に繋がっています。これは新島襄が明治7年11月28日に帰郷し、翌月の12月24日まで故郷である上州安中に滞在していた期間であり、国内で初めてキリスト教会衆派の種が蒔かれた象徴的な時でもあり、国内初の新島襄ムーブメントの始まりを示す時であり、新島学園の起源と大きくかかわる時であり、そして何よりもキリスト教の教会歴でも大切な時であるイエス・キリストの誕生を待ち望む『アドヴェント(降誕節)』の時と見事に一致します。
このような大切な意味を多く含む約3週間の記念フェア期間中の代表的な取り組みとして、11月28日㈫に行う70周年記念礼拝では世界的な建築家であり、世界中の教育施設、教会等を手掛けておられる手塚貴晴氏をお招きし、未来の学び舎の在り方について大切なメッセージをいただく予定です。
また12月2日には創立70周年記念式典を行い、記念講演の講師として、慶應義塾大学の中室牧子教授をお招きし、未来の教育の在り方についてお話しいただく予定です。そして、新島学園の10年後のビジョンを示す『NIIJIMAGAKUEN GRAND DESIGN 2027』をリリースし、新たなステージを迎える新島学園の今後の進む方向性をお示します。
勿論クリスマス関連事業及びプロジェクトにつきましても、新しい取り組みにチャレンジしてまいりますので今後の展開に是非ご期待いただけたらと思います。
我々はこの大きな時間軸の中にあって、大変重要な節目の時を迎えております。我々はこの時を新島学園の新しいステージの始まりと位置付けています。
この中で大切にしたい心構えとは、これからは本学だけで未来を考えるのではなく、共に歩む新島ファミリーである同窓会の皆さんと一緒になって未来の新島学園づくりを行っていきたいと願っております。
そして新島学園だけが良くなることを考えるのではなく、本学がこれまで70年間培ってきた教育の力を駆使し、いかに地域社会を豊かにしていくことが出来るのか、貢献していくことが出来るのかが問われる時であることも同時に認識しています。
今回の創立70周年記念事業の如く、種を蒔く取り組みを行っていただき、新たな伝統づくりへと繋がるような芽を共に歩む皆さんと育てていきたいと願っております。そして芽が出るための土づくりも同時に行っていきたいと考えています。
これからも変わらぬご支援・ご協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。