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新型コロナウイルス感染拡大下の新島学園中学校・高等学校

新島学園中学校・高等学校 教頭 小栗仁志


 一年前の同じ日、一年後の世界がこうなっていることを誰が想像できたでしょうか。2019年12月に中国湖北省武漢市にて広がり始めた新型コロナウイルスは瞬く間に世界に広がり、2020年11月初めの時点での感染者の累計は世界全体で4800万人、日本でも1万人を超えました。まさにパンデミックの様相です。


 この間、学校現場も多大な影響を受けました。2月27日に当時の安倍首相が突然、全国の小・中・高・特別支援学校に対して3月2日から春休みまでの臨時休校を要請しました。唐突なことで、新島学園中学校・高等学校としてもどうすべきなのか緊急に職員会議を開き検討を加えましたが、生徒の健康を守ることを最優先に考え、要請に応えて3月2日より春休みまで(3月19日まで)の臨時休校を決定しました。臨時休校初日の3月2日は高校の卒業式でしたが、式次第の変更による大幅な時間短縮、来場者の人数制限を行うなどの感染対策を行った上での卒業式となりました。卒業生全員に校長が卒業証書を手渡ししてきた伝統も一旦中断せざるを得ず、何よりも楽しみにされていた保護者の方々、卒業生一人につき保護者お一人の参列に限定することになったことは大変に心苦しいことでした。

 また、どの学年も予期せぬ突然の年度の終了となり、年度の締めくくりとクラスの解散が十分にできない残念さを味わいました。2月中に決定したこととはいえ、3月に予定されていた中学2年生の研修旅行、高校1年生の修学旅行も延期とし、生徒が楽しみにしていたことが一斉に吹き飛んだ感があります。

 臨時休校中、どうしても行わねばならない次年度の教材販売と期末テストの返却のために各学年一日だけの登校日を設け、また、3月19日には中学の卒業式を高校と同様の対策を取った上で実施しました。長期の休校に伴い学習面でのサポートが心配されましたが、Web教育システムであるスタディサプリやクラッシーを使っての休み中の課題の指示、配信を行い、急場 をしのぎました。

 春休みが終われば新年度から登校再開と皆が願っていたのですが、県の方針により連休明けの5月6日まで、後に5月31日までの臨時休校延長が決定されました。2019年度の締めくくりどころか、2020年度のスタートも十分にできず、混乱のうちに新年度を迎えることとなりました。

 そんな中、4月7日に新中学1年生、新高校1年生の入学式を行いました。礼拝堂は使用せず、各教室で放送による短時間の入学式でした。礼拝堂を使用しない入学式は前代未聞のことでしたが、新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言が一部自治体を対象に発令される中、やむを得ない対応であったと思います。新年度になり新クラス編成となって、とにかく一度は集まらなければクラス運営もできないと、4月8日に中1と高1、9日に中2と高2、10日に中3と高3と2学年ずつ、3密を回避しながら登校しました。新クラスの初めての顔合わせですが、この後、1ヶ月以上、クラス全員が顔を合わせることはありませんでした。


 新年度が始まったものの長く臨時休校が続き問題となったのは学びの継続です。自宅にいる生徒を支援し、学習を継続していかなければなりません。臨時休校突入直後は、生徒たちに加入してもらっているWeb教育サービスであるスタディサプリ、クラッシーを使っての課題の配信、回収、講義の動画閲覧などを行っていたのですが、教員がそれぞれ教室で授業動画を撮影し、それを動画共有サービスであるYou Tubeにアップロードして生徒が授業を見ることができるようにしていきます。4月の中旬から朝に礼拝動画を配信して朝のHRをWeb上で行うところから始め、5月11日から授業動画の配信を本格的に進めていきます。5月25日よりオンライン学習システムとして定評のあるgoogle classroomを導入し、動画配信、動画閲覧の確認、その他の課題の配信、回収などがよりオンラインでやりやすくなりました。

 オンラインでの学習支援の体勢を整えるにあたり、学校は各教室のネット環境の強化、教員一人一台のノートパソコンの配布など、多額の費用を使って機械的な環境を整備しました。また、You Tubeでの動画配信やgoogle classroomの設定や使用に際しては、情報に詳しい若手の教員達が中心になって、連日深夜まで作業をして大変な努力をしてくれました。また、生徒達のネット環境を整えるために生徒一人あたり、PTAの皆様から3万円、同窓会の皆様から2千円の支援金もいただきました。生徒達へのオンラインでの学習環境の構築は、こうして多くの方々の応援と具体的な支援によって実現したことを、心からの感謝をもって覚えたいと思います。御礼申し上げます。


 県の基準が緩和され、6月1日より、半分ずつの生徒による分散登校が再開されました。出席番号の偶数グループと奇数グループに分け、一日交替での登校です。毎朝、学年の教員が総出で非接触型体温計により、登校する全生徒の検温を昇降口前で行い、新型コロナウイルスの感染対策を行いながらの再開です。クラスの半分の生徒の登校とはいえ、久しぶりの登校再開に生徒たちの喜ぶ顔が印象的でした。オンラインでも学習を継続させてきたつもりでしたが、やはり面と向かっての授業の豊かさは他に替えがたいものがあると実感させられました。

 6月15日よりいよいよ全生徒による一斉登校が再開されました。45分の短縮授業での対応です。そして6月29日より50分授業での一斉登校、つまりはコロナ以前の授業形態にようやく戻すことができました。朝の一斉検温もやめ、生徒各自の自宅での検温に切り替えました。朝の全員検温は教員にとってかなりの負担でしたが、生徒の健康のため頑張って一カ月間やり通してくれ一斉登校再開以後、新型コロナウイルスの感染予防を行いながらのWithコロナの学校生活が続いています。夏期休業を2週間と半分に減らし、また、予定されていた行事も大幅に減らし、授業時間確保に努めています。すべての行事、活動が感染予防の観点から昨年と全く同じでは実施できない、学校のすべての日常の活動が新しい経験となっています。日本の教育の歴史上稀に見る事態であり、今までの経験もノウハウの蓄積もなく、一からすべてを考えねばならない状況に、正直申し上げて学校現場も苦悩が深いのですが、生徒たちはいろいろと悩みつつもこうした日常の中でも情熱とやる気をもって歩んでくれています。

 特に高校3年生にとっては、進学への不安もあり、また、一生懸命取り組んできた部活動の最後の大会や行事が次々と中止になり、行き場のない嘆き、やりきれなさを抱えていることでしょう。しかし、若人達は本当にたくましく、高校3年生も他の学年の生徒達も、次なる目標を目指し、前を向いて次のステップへと進んでいこうとしています。教職員はそうした生徒達の日常を支援し続けたいと思います。


 秋になり、いろいろな部活動で新人大会が、必要な感染防止対策をとりつつも通常に近い形で行われ始めています。このところ、生徒達の頑張りのニュースが入ってくるようになりました。冬場を迎え、季節性インフルエンザの流行も、新型コロナウイルスの再流行も懸念されますが、やるべきことをしっかりやりつつ、これからも生徒達と共に歩んで行きたいと思います。どうぞ、これからも応援、ご支援をよろしくお願い致します。

 


新島同窓会報「根笹」

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