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「県大会初優勝」という
『てっぺん』から見えたもの

新島学園高等学校
男子バスケットボール部顧問 青柳保志


 新島学園に赴任して早いもので今年25年目になりました。幼少の頃に観ていたアニメ「ど根性ガエル」で主人公ヒロシの担任 町田先生は『教師生活25年…』が口癖でしたが、気が付くと私もそんな歳に成っていました。そんな初老の私に、この夏ビッグなプレゼントが舞い込みました。中高同時「県大会初優勝」です。これは中高一貫校である新島学園だからこその出来事で、県内バスケットボールの種目において初めての快挙です。


 私が最も嬉しかったことは『頂点(てっぺん)』の称号はもちろんの事ですが、卒業生の皆様とその保護者様、地域の方々、更には県内外の他校バスケ指導者・先生方が大変に喜んでくださったことです。こんなにもたくさんの応援の中で、バスケットボールに関わってこられたんだと実感、感謝の気持ちでいっぱいです。また私の高校時代の恩師で本学同窓会長である立見賢治先生は、赴任当初より公私共に支えて頂き、私の人生の道標です。その恩師の前で決勝を戦い、結果をもってご報告できたことはこの上ない喜びです。


 私は指導者になる時に、①日本代表選手を育てる。 ②チームを全国大会に出場させる。という2つの目標を立てました。「日本代表選手を育てる」については未だ達成できておりませんが、大学時においてU20日本代表合宿に選ばれた53期生がいます。また57、58期生では大学卒業後プロ選手になった者もいます。その3名は新島学園でバスケットボールに出会い、卒業後も道を極めてくれたと思うととても感慨深いです。更には上級審判員や中学指導者としても活躍している者もいます。またバスケットボールに関する仕事を将来の目標として頑張っている者もいます。日本のバスケットボール界の一端を担う人材を育成できたことを誇りに思います。そしてこの度「チームを全国大会に出場させる」という目標を生徒たちに叶えてもらいました。指導者としてこの上ない喜びです。

 私は中学1年生からバスケットボールをはじめました。各ステージで個性豊かな指導者に鍛えていただき、大学・実業団まで続けることができました。全国優勝は40歳、とても遅咲きの選手でした。そんな自分の経験から「選手個人の花はいつ咲くか分からない」と考え、バスケットボール初心者も大切に育ててきたつもりです。近年は卒業生が現役生を指導・激励のため、来校してくれる度に「教師生活25年」は無駄ではなかったと思っています。転勤のない新島学園だからこその『人財』が私とチームの宝物です。


 バスケットボールを通して新島学園に尽くしてきた25年の間に長女(68期生)は大学4年生となり、今でも当時一緒に頑張ってきた女子バスケット部の友人たちとの交流は続いております。次女は74期生、女子バスケット部所属の高校1年生です。苦しさや辛さを超えて、仲間と共に目標に向かっている最中、その経験が将来必ず役立つと信じています。娘2人のバスケットボール人生を応援できる幸せと家族の協力を感謝しつつ、保護者の立場から見ても『新島ファミリー』という固い絆は心強く思います。

 61期の部員が卒業文集に「いつか後輩たちが、群馬県の頂上(てっぺん)に立つことを信じています」と綴ってくれました。今大会、私が群馬県の『てっぺん』から見えたもの…。それはさらなる頂上への景色よりも『てっぺんまでの道のり』でした。

 部員たちが流した汗や涙で開拓した道を、後輩たちが更にその先へ伸ばしていく。ここまで来るのに25年かかりましたが、毎年新チームのスタートと共に、卒業した部員たちが整備してくれたその道を、山の麓からまた登り始める。そして今年「てっぺん」までの最後の道は、とても険しく厳しいものでしたが、全ての皆様方の励ましや声援が力となり、チームを頂上まで押し上げてくれたと思っています。


 さて、7月下旬に香川の地で行われた全国大会では、コロナの影響もあり満足な試合をすることはできませんでした。小栗副校長や学校医の正田先生の協力を得ながら、なんとか部員11名で参加しました。そして新島学園バスケット部はインターハイ初出場という貴重な体験をすることができました。今大会ベスト4に進出した静岡県の藤枝明成高校に初戦敗退となってしまいましたが、この試合で主将の柄澤日向が、1試合最多得点者となり、結果よりも記憶に残る試合となりました。

 インターハイ期間中からはじまった中学生の大会は、中学顧問の水井雄太郎先生(63期生)と部員たちが高校生に続けとばかりに頑張ってくれました。香川から帰宅した。翌日から私も参加し、優勝の勇姿を見届けることができました。しかしながら8月上旬に東京で行われた関東大会では、雀宮中学校(栃木県2位)に初戦敗退。ベンチワークや指導の難しさを痛感いたしました。


 バスケットボールというスポーツは、日本において新たなステージに入ってきました2015年にはプロリーグ「Bリーグ」が発足し、日本人NBA選手の出現や、東京オリンピックでの女子銀メダル獲得など、目紛しく進化しています。

 また学校における環境は「働き方改革」「部活動問題」など変化しています。この激動の中、新島学園はどう進化していくのか?私は25年間そうしてきたように、日々を大切に、生徒の成長を一番に考えていきたいと思っています。


 「群馬県チャンピオン」という山は、バスケットボールの進化や学校の諸問題と比べ、とても小さなものかも知れませんが、「頂上(てっぺん)」に登った事実とその道のりを勲章に、自分らしく精進して参ります。

新島学園バスケットボール部を応援してくださっている全ての皆様に心から感謝申し上げます。今後とも引き続きご支援をお願い申し上げます。

 


新島同窓会報「根笹」

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